2008年岩手・宮城内陸地震緊急観測グループ

更新:2008/08/18

1.はじめに

2008年6月14日の岩手・宮城内陸地震(M7.2)の発生を受けて,全国の大学・研究機関の合同で,各種の観測が行われています.このページでは,そのうちの余震観測とGPS観測および電磁気観測の成果を随時紹介していきます.

謝辞

余震の震源決定には防災科学技術研究所のHi-netと気象庁のデータも使用させていただきました.またGPSのデータ解析には国土地理院のGEONETと国立天文台水沢のデータも使わせていただきました.さらに,原子力安全基盤機構(JNES)が平成19年度,平成20年度に実施した内陸の活断層調査に基づく震源断層評価手法の検討事業で取得されたデータも使用させていただきました.記して感謝申し上げます.

2.緊急合同余震観測グループ

2.1. 観測点配置

本震発生直後に,関連大学・機関が相談して,合同で余震観測を行うことになりました.6月20日時点で合同観測として観測点を設置している機関は,北大,弘前大,東北大,東大,名大,京大,高知大,九大,鹿大,防災科研です.当初予定していた観測点配置を図2.1.1に示します.

高感度地震観測点配置案

図2.1.1.高感度地震観測点配置案.丸印が観測点の配置予定場所.丸の色は機関を表す.赤線は活断層,は第四紀の火山,はオンラインの観測点(東北大,Hi-net,気象庁) ,は原子力安全基盤機構のオフラインの観測点を表す.

また,実際に6月24日までに配置された臨時観測点を図2.1.2に示します.残念ながら,震源域直上は被害が大きいために,現地に入ることができず,設置ができていない観測点が多数あります.これらは,道路が復旧するのを待って,設置する予定です.(以上,文責:松澤)

設置された高感度地震観測点の配置

図2.1.2.設置された観測点.がオフライン,がオンラインの臨時観測点の設置場所を表す.☆印は,東北大学の自動処理による余震分布を示す.

2.2. 余震分布

この岩手・宮城内陸地震緊急合同余震観測グループの臨時地震観測データと原子力安全基盤機構・防災科学技術研究所Hi-net・気象庁・東北大学の観測データを統合処理し,余震の震源決定を行いました.ここでは2008年6月26日の地震調査委員会に提出した資料を示します(図2.2.1).(以上,文責:岡田)

再決定された震源の分布

図2.2.1.臨時観測点も含めて利用できるデータを全て加えて,DDトモグラフィ法で震源決定された結果.構造は岡田・他(2008;連合大会)である.上図:西北西―南南東方向の鉛直断面図,右下:余震分布に沿った北北東―南南西方向の鉛直断面図,左下:平面図.断面図中のは出店断層の位置,東北大・岩手大のグループ産総研らによって発見された地表変状の位置を示す.★:前震(08時01分と11分),☆:本震(08時43分)を示す.そのほかの色の○は余震(6/14-6/17)を示す.色は深さを示す.小さなは1997年から本震発生前までに発生した地震を示す.は第四紀火山を示す.

3.緊急合同GPS観測グループ

3.1. 観測点配置

本震発生直後に,関連大学・機関が相談して,合同でGPS観測を行うことになりました.6月20日時点で合同観測として観測点を設置している機関は,北大,東北大,名大,九大,鹿大です.6月20日時点の観測点配置を図3.1.1に示します.(以上,文責:太田)

GPS観測点配置

図3.1.1.GPS観測点配置.

4. 緊急合同電磁気観測グループ

4.1. 観測の概要

MT観測測線

図4.1.1. 余震(○)の分布と広帯域MT法探査測線(緑破線).MT観測点,は第四紀火山,は地殻深部低周波地震の活動域を表す.

2008年6月14日岩手・宮城内陸地震(M7.2)の震源域には東北大学によって行われた3本の広帯域MT法探査測線があります(図4.1.1).合同観測による余震の震源を,中央部の栗駒山測線の比抵抗断面図に重ね合わせると,図4.1.2のようになります.余震は高比抵抗域に発生していることがわかります.

合同観測の電磁気観測の一環として,余震発生域内にある測点150と,域外の測点140とで,広帯域MT法観測を開始しました.2005年の東北大の観測値と比較し地震前後の比抵抗変化の有無とともに,地震後の比抵抗変化の有無を調べるためのものです.

さらに,交通網の回復をまって,既存3測線間など構造探査のための観測を行う予定です.この観測は秋田大・北海道大・東京大・東京工業大・東北大などが共同で実施しています.

なお,余震の震源は合同観測グループによる速報震源(080617版)を使用しました. (以上,文責:三品)

栗駒山測線の断面図

図4.1.2.栗駒山測線の比抵抗断面と本震・余震の震源分布.上部の数字はMT測点番号.(縦横比 1:1).

5. 発表資料

● 平成20年度第178回地震予知連絡会資料 (2008年8月18日)

2008年8月18日に開催された地震予知連絡会にて,緊急合同観測の成果を東北大から発表させていただきました.その資料については,東北大の予知センターの特集頁をご覧ください.

●平成20年度第1回地震予知連絡会東日本部会 (2008年7月2日)

2008年7月2日に開催された地震予知連絡会東日本部会にて,緊急合同観測の成果を東北大から発表させていただきました.その資料については,東北大の予知センターの特集頁をご覧ください.