火山噴火予知観測研究部の概要

沿革

本研究部門は測地学審議会による火山噴火予知計画に基づいて設置されており、その歴史は1977年(昭和52年)に本センターの火山噴火予知計画にともなう、火山活動移動観測班の設置に始まります。1979年(昭和54年)以降、岩手山・秋田駒ヶ岳・秋田焼山・鳥海山・蔵王山・吾妻山・安達太良山・磐梯山などに広域火山観測網を整備し、地震や地殻変動、地磁気等の連続観測をおこなっています。

火山現象と火山物理学

火山現象は、地球内部の熱を宇宙空間へと放出する現象の一つと言うことが出来ます。地球形成時の集積熱や放射性核種の壊変熱により、地球内部は非常に高温になっています。この地球内部の熱を排出する為にマントル対流が駆動され、プレート運動が起こり、火山活動や地震活動が生じます。火山は主に3種類の場所で形成されます。一つはマントルからの上昇流(プルーム)が存在するところ「ホットスポット」で、典型的な例としては、ハワイやレユニオン島があげられます。残る二つはプレート運動に関係し、「海嶺」と「沈み込み帯」に形成される火山です。日本は、太平洋プレートやフィリピン海プレートが日本海溝や南海トラフで沈み込んでいる場所、「沈み込み帯」に位置しています。そのため、世界の約10%の火山は日本に存在しています。日本は地震国と言われますが、同時に火山国でもあるのです。

火山物理学は複雑に見える火山現象を1つ1つの素過程に分けて理解する分野です。地球の内部はアクセスし難いため観測には種々の制約がありますが、地下でのマグマの生成・集積・上昇の機構や噴火過程の解明は、最近著しい進歩をとげつつあります。2000年の有珠山の噴火の際には、噴火前兆現象の推移を着実に捉える事により、噴火前の住民の避難に繋がった事は記憶に新しい成果です。岩手山の活動活発化の際には、長期にわたって静穏状態であった岩手山の活動再開の前兆を1995年に観測井を用いた高品位な観測によりとらえ、観測を強化する事により、活動の推移を詳細に把握する事が出来ました。

火山噴火予知の研究は、火山物理学による基礎的理解の上に立ったマグマの運動の解明と言う事が出来るでしょう。本研究部では、火山災害の軽減という社会的要請を背景に、火山噴火予知計画に基づいて、東北地方に18ある活火山のうち、8つの活火山(秋田焼山・秋田駒ヶ岳・岩手山・鳥海山・蔵王山・吾妻山・安達太良山・磐梯山)を対象として合計20観測点からなる広域火山観測網を整備し、地震・地殻変動・地磁気などの連続観測を実施しています。さらに、これらの定常観測を補って臨時地震観測、臨時地殻変動観測や繰り返し重力測定測定などを実施するとともに、微小地震観測のデータをも併せて、マグマ活動を解明するための研究を精力的に行っています。