東北地方の火山 [分布概説-1-|概説-2- ]

東北地方の火山[概説 -2-](気象庁編:日本活火山総覧(第2版), 1991; 近年の火山観測の成果より)

    栗駒山 [1,628m,38°57′29″N,140°47′31″E] 3D鳥瞰ムービー
    栗駒山鳥瞰図

    安山岩の二重式火山。外輪山は成層火山で、南側だけが残存し、その東端が最高峰の大日岳 (SiO2 55%)である。 中央火口丘の剣山は平坦で溶岩円頂丘で硫気活動が盛んである。有史以後の活動は、爆発火口内での噴火、泥土噴出など。周辺では地震活動が活発である。
    別名:須川岳、酢川岳、大日岳、駒ケ岳、お駒岳。

    鳴子 [461m,38°43′59″N,140°43′54″E]
    鳴子鳥瞰図

    デイサイト(SiO2 70〜75%)の4つの溶岩円頂丘が一群をなし、それらに囲まれた酸性の火口湖・潟沼(直径400m)の内外やその西側の溶岩円頂丘(海抜396m)の壁では硫気活動が盛んである。




    肘折 [545m,38°35′50″N,140°09′54″E]

    肘折(銅山川軽石流;杉村,1953)は、山形県最上郡大蔵村、山形県尾花沢市の西約20km、月山の北東約15km、鳴子の西南西約50kmに位置する。肘折を構成する地形は、北緯38度36.5分、東経140度10.3分を中心とする、内径約2km外径約3km比高マイナス約0.2kmのカルデラであり、火砕流台地がその南方数kmと北方約8kmにかけて分布している。宮城(2002)、宇井・他(1973)、福岡・木越(1971)による肘折の活動年代値から、おおよそ1万年程度前に活動があったと考えられる。 現在、噴気活動はないが、地熱活動が継続している。カルデラの東端と中央部に温泉があり、中央部の湖成層が著しい温泉変質を受けている。

    蔵王山 [1,841m,38°08′26″N,140°26′34″E] 3D鳥瞰ムービー
    蔵王山鳥瞰図

    玄武岩〜安山岩(SiO2 49〜64%)の成層火山群で、山体の上部を形成する熊野岳(最高峰)・刈田岳などが噴出した後、山頂部に直径2km程度のカルデラが生じた。五色岳はその中に生じた後カルデラ火砕丘で、火口湖御釜(直径360m、別名五色沼)をもつ。有史後もしきりに活動をしてきたが、被害を伴った噴火は御釜の内外で発生。泥流を生じやすい。数地域に噴気孔。
    別名:刈田岳、熊野岳。

    吾妻山 [1,949m,37°43′56″N,140°14′52″E] 3D鳥瞰ムービー
    吾妻山鳥瞰図

    玄武岩〜安山岩(SiO2 52〜59%)の多数の成層火山からなり、これらの火山は東南東〜西北西に走る南北の2列に大別される。全体として南列より北列が新しく、それぞれの列では西より東が新しい。北列の多くの火山は山頂火口をもち、特に東部の一切経山付近には、五色沼、大穴、桶沼、吾妻小富士など多くの新しい火砕丘・火口がある。 南列の火山は侵食が進んでいる。 有史後の噴火は、北側火山列の一切経山(1,949m、成層火山)の爆発で、現在その南〜東斜面には硫気地域が広く分布する。

    安達太良山 [1,709m,37°37′46″N,140°17′11″E] 3D鳥瞰ムービー
    安達太良山鳥瞰図

    玄武岩〜安山岩(SiO2 52〜62%)の成層火山群で、東西9km、南北14kmにわたる。 これらの火山は、北から箕輪山、鉄山・安達太良山(本峰)、和尚山の3群に分けられる。主峰の安達太良本峰(1,700m)などの山頂部は溶岩円頂丘や西に開く沼ノ平火口(直径 1.2km、深さ 150m)がある。明確な記録のある噴火活動は、沼ノ平火口での明治以後の活動に限られる。この火口の内外には、硫気・温泉地帯が諸所に存在する。
    別名:吾田多良山、岳山、沼尻山、硫黄山、西岳。

    磐梯山 [1,819m,37°35′53″N,140°04′32″E] 3D鳥瞰ムービー
    磐梯山鳥瞰図

    安山岩(SiO2 58〜64%)の成層火山。赤埴山・櫛ヶ峰・大磐梯・小磐梯などの火山が、現在の中心地域から噴出、円錐形火山体の形成と崩壊とが繰り返されて現在の山容がつくられた。1888年の山体崩壊は著名であるが、この他にも南西方の翁島・頭無し、東方の沼の平・琵琶沢等に山体形成途中の岩屑なだれ堆積物があり、火山体にそれらに対応する崩壊壁がある。1888年に水蒸気爆発により小磐梯山の山頂を含む北側が崩壊し、その際発生した岩屑なだれで大被害を生じた。山頂部北側の馬蹄形カルデラ壁、北麓裏磐梯高原の流れ山、桧原湖など大小の湖沼がこの活動で生じた地形。 有史後の噴火はすべて水蒸気爆発で泥流を生じやすい。前記カルデラ壁や山頂部には微弱な硫気孔が点在する。カルデラ壁の崩壊や山崩れもときどき起こっている。
    別名:磐代山、万代山、会津富士。

    沼沢 [835m,37°26′29″N,139°34′10″E]
    沼沢鳥瞰図

    沼沢は、福島県西部、会津盆地の南西山地にあるデイサイト質の小型のカルデラ火山である。中央には径lang=EN-US>2kmの沼沢湖カルデラがあり、その周囲に惣山、前山の溶岩ドーム、火砕流台地が分布する。沼沢の形成は約11万年前のプリニー式噴火に始まり、数万年間隔でプリニー式噴火とデイサイト溶岩ドームの形成を繰り返している。最後の噴火は約5千年前の沼沢湖火砕物の噴火で、この時に沼沢湖カルデラが形成された。この噴火では数kmのデイサイト(一部安山岩)マグマを噴出し、その大半が火砕流として定置した。この火砕流は広い爆風被災域を持つ流動性の大きなもので、いくつかの地形的障害を乗り越え20km以上流走し、会津盆地内に達してい る。


    燧ヶ岳 [2,356m,36°57′08″N,139°17′19″E; 2,346m,36°57′08″N,139°17′31″E] 3D鳥瞰ムービー
    燧ヶ岳鳥瞰図

    福島・群馬・新潟県境にある尾瀬ヶ原の北東の福島県南西隅に位置する基底8×6km、海抜2,346m、比高約700mのほぼ円錐形の複成火山で、山頂に直径約800mの火口を有する。花崗岩と古生層を基盤とし、安山岩からデイサイト質の溶岩流、溶岩円頂丘及び火砕流堆積物から構成される。北西麓に向かい規模のやや大きな火砕流が流出している。過去には火砕流噴火や山体崩壊が繰り返し起きているが、明確な活動記録はない。初期の噴出物は輝石安山岩、後期の山頂部溶岩及び火砕流は主に輝石デイサイトである。本火山の噴出により、西麓の古檜枝岐川や只見川が堰き止められて尾瀬ヶ原湿原や尾瀬沼が形成された。